ここ10日あまり、日本国内での対北朝鮮の動きがやたら目につくように感じられます。
万景峰号の件は向こうの都合によるものとしても、他の4つは受動的ではなく日本側から起こした行動です。この集中度はあたかも同じキャンペーンの一環であるようにみえます、というと少々穿ち過ぎでしょうか。
しかしいままで政府が「対話と圧力」といっていたなかで、前者では時間の引き延ばしに利用されているようにしか見えず、後者については全く手をつけていないとしか感じられなかっただけに、もし国主導のキャンペーンだったとしてもわたしは支持したいと思います。
政府はことさらに「これから圧力をかけます」などと宣言せずとも、このように粛々と行動を起こしていけばいいのです。
ところで「ドキュメント北朝鮮」ですが、広範囲に各国のアーカイブや当事者から取材したようで、その力の入れ具合がうかがえます。昨夜の第2回は(録画して)まだ見ていませんが、第1回の感想をメモしておきます。
ソビエトによって抜擢されたキム・イルソンは当初、後年見慣れたでっぷりとした体躯からは想像できない細身で、カリスマ性も感じられないそこらにいる青年にしか見えませんでした。ソビエトにすればコントロールしやすい傀儡指導者を据えたつもりが、ある時点から制御不能に陥ってしまったのです。
スターリンを批判し個人崇拝を禁じたフルシチョフ――共産圏のトップとしては(西側から見て)マトモな政治家――の再三の警告を振り切って独裁体制を確立した手腕をみるとかなりのやり手ではあったようです。
そのキモは、本家ソビエトもびっくりの「主体思想」による国民の洗脳です(旧ソ連衛星国ではあちこちで民主化運動の火の手があがっているのに、北朝鮮ではいまだにその気配がまったく見られないのはこの洗脳がよほど効いているということでしょうか)。
権力闘争ではお決まりの敵対派閥をハメての粛正はスターリン譲りでしょうか。そして瀬戸際外交の原点と言われている「プエブロ号事件」などをみると見事に米ソを手玉に取っています。近年われわれは息子のキム・ジョンイルの報道にしか接していませんが、父親はその地歩を盤石なものにした元祖だけに、力量においては数段上のようです。
ソビエト共産党の中枢にいた幹部が当時を回顧して嘆息した言葉が印象的でした。「北朝鮮は常に頭痛のタネだった。あのような人たちとは関わりを持たないほうがよい」
- 3月23日
- 原敕晁(ただあき)さん拉致事件で大阪市の中華料理店や在日本朝鮮大阪府商工会などを捜索
- 4月2~4日
- NHKスペシャル「ドキュメント北朝鮮」3夜連続で
- 4月3日
- 総務省、朝鮮総連施設の減免の厳正判断を自治体に通知
- 4月3日
- 万景峰号、保険更新が遅れで今年最初の入港中止が判明
- 4月4日
- 拉致事件被害者・田口八重子さんを題材にした漫画の連載開始
万景峰号の件は向こうの都合によるものとしても、他の4つは受動的ではなく日本側から起こした行動です。この集中度はあたかも同じキャンペーンの一環であるようにみえます、というと少々穿ち過ぎでしょうか。
しかしいままで政府が「対話と圧力」といっていたなかで、前者では時間の引き延ばしに利用されているようにしか見えず、後者については全く手をつけていないとしか感じられなかっただけに、もし国主導のキャンペーンだったとしてもわたしは支持したいと思います。
政府はことさらに「これから圧力をかけます」などと宣言せずとも、このように粛々と行動を起こしていけばいいのです。
ところで「ドキュメント北朝鮮」ですが、広範囲に各国のアーカイブや当事者から取材したようで、その力の入れ具合がうかがえます。昨夜の第2回は(録画して)まだ見ていませんが、第1回の感想をメモしておきます。
ソビエトによって抜擢されたキム・イルソンは当初、後年見慣れたでっぷりとした体躯からは想像できない細身で、カリスマ性も感じられないそこらにいる青年にしか見えませんでした。ソビエトにすればコントロールしやすい傀儡指導者を据えたつもりが、ある時点から制御不能に陥ってしまったのです。
スターリンを批判し個人崇拝を禁じたフルシチョフ――共産圏のトップとしては(西側から見て)マトモな政治家――の再三の警告を振り切って独裁体制を確立した手腕をみるとかなりのやり手ではあったようです。
そのキモは、本家ソビエトもびっくりの「主体思想」による国民の洗脳です(旧ソ連衛星国ではあちこちで民主化運動の火の手があがっているのに、北朝鮮ではいまだにその気配がまったく見られないのはこの洗脳がよほど効いているということでしょうか)。
権力闘争ではお決まりの敵対派閥をハメての粛正はスターリン譲りでしょうか。そして瀬戸際外交の原点と言われている「プエブロ号事件」などをみると見事に米ソを手玉に取っています。近年われわれは息子のキム・ジョンイルの報道にしか接していませんが、父親はその地歩を盤石なものにした元祖だけに、力量においては数段上のようです。
ソビエト共産党の中枢にいた幹部が当時を回顧して嘆息した言葉が印象的でした。「北朝鮮は常に頭痛のタネだった。あのような人たちとは関わりを持たないほうがよい」
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